西洋漢方 心身癒す

「西洋」なのに「漢方」−−。不思議な語感の「西洋漢方」が美と健康のキーワードに浮上してきた。欧州産の自然素材を原料にしたスキンケアやアロマテラピー(芳香療法)で体と心のバランスを整え、さまざまな症状を和らげる。思想は漢方にも通じる自然派コスメだ。人気セレクトショップなどにも置かれ、愛好者はじわじわ拡大している。(中略)ミレニアムリテイングの佐々木滋夫・婦人雑貨担当マーチャンダイザーは「外資系コスメを”卒業”した女性が戻る場所の一つが、自然派化粧品」と説明する。「英国の百貨店ではシャネル、ディオールなどの化粧品ブランドと並列的に自然化粧品の売り場が作られるようになっている」という。
ロハス系の雑誌が自然化粧品の情報を掲載し出した日本を、スイスやドイツの10年から15年前に似ているとみる声もある。一方で、日本独特の現象として「欧州では珍しい10代や20代前半の女性が使い始める事例が少なくない」(アルケナのアリモト代表)。カーライフなど生活様式を提案する店舗を扱うことで、スキンケアにさほど差し迫った関心がない若い世代も引き寄せる。薬事法の制約で効用の訴求範囲は限られるが、西洋漢方の存在感は医薬品に近い。コスメの枠を超えて活躍の場面が増えそうだ。(日経MJ